おひとりさまピアノ塾 ~はじめてのピアノ

ピアノを始めてみませんか? ピアノはご自分のペースで進めていけば難しい楽器ではありません。

今からでも遅くない ピアノのすすめ

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今回は少し違った観点からの

ピアノのすすめです。

 

私はピアノ指導者として

たくさんの生徒さんをレッスンしてきました。

初めてピアノに触るという

シニアの方にも大勢お目にかかりました。

今でも忘れられない、

そして私の指導者としての考え方に

大きな影響を与えてくれた方がいます。

 

レッスンを始められたときが83歳、

都心におひとり暮らしの女性でした。

背筋もピンとして足もしっかりされて、

毅然とした第一印象でした。

おうちにはキーボードをお持ちとのこと、

「毎日練習します」とおっしゃいました。

いろいろ考えた末、

初心者向けのドリル的な練習曲の入った

曲集でレッスンを始めました。

初めは5本の指をしっかり動かすこと、

そして簡単なメロディ、

もちろん左手も

少しずつ動かしていきました。

こちらがお伝えしたことが

すぐにその場では出来ないことも

多かったですが、

お家でしっかり練習されたのでしょう。

何か月か後には

ゆっくりとではありましたが

両手で演奏できるまでになりました。

 

とても楽しい方で、

レッスンの合間の会話も弾み、

だんだん暮らしぶりや

今までの生活も見えてきました。

九州の田舎で生まれ、

弟さんがご健在でいらっしゃる

とのことでしたので

いずれそちらにお戻りになるのかを

お尋ねしたら「NO」

東京には博物館、美術館、コンサートなど

自分の興味のあることがいっぱいあるから

それが気に入っているのだと。

新聞は隅から隅まで

全部の記事を読むのが日課、

他にも句会に出たり、

油絵を描きにアトリエに通ったり。

 

そして2年くらいたったある日、

次のレッスンの日程の相談をする際、

分厚い手帳をバッグから取り出して、

「ごめんなさい、

その日はラテンのコンサートに

行くことになっているから

他の日にしてくださいます?」と

おっしゃいました。

「ラテン、お好きなんですか?」

「だって、楽しいじゃな~い!」

 

御年85歳、あっぱれ!

 

このときに私は

いくつかのことを学びました。

 

・人間は何歳からでも新しいことを始められるし

上達する

・あふれる好奇心は

若さの秘訣

・ポジティブな姿勢は

まわりを明るくする

 

そのあと、九州の弟さんが入院され

お世話をなさるため

レッスンはおやめになりましたが、

今はどうされていらっしゃるか。

 

そういえばレッスンにいらしているときに

彼女の前は70代の女性のレッスンで、

そのお二人、

ちょうどすれ違いのような形でしたが、

会話を交わしている光景が

微笑ましかったです。

 

「あなた、どうぞお気をつけて。

ほら、ちゃんと足元を見て」

と、足の調子の悪い70代女性に

よく注意を促していました。

 

最後までお読みくださって、

ありがとうございます。

 もし、ピアノを始めようかどうしようか

迷っている方がいらっしゃいましたら

 

始めるのに遅いということはありません。

ぜひご自分のペースで、今からどうぞ!

さて次回はクリスマス・ソング第2弾、

「ひいらぎ飾ろう」です。