だいぶ前にレッスンさせていただいていた
一人の初心者の男性のことを
思い出しました。
50代後半からレッスンをスタートされ、
2年ほど経った時のことでした。
次に取り組まれる曲を選ぶにあたり、
私からおすすめの曲として、
「太陽がいっぱい」という
昔のイタリア映画のタイトル曲を
弾いてお聞かせしていた時のことでした。
弾き終わり、その方のお顔を見ましたら、
涙をポロポロこぼされていたんです。
お聞きしましたら
「あの頃の思い出がこみあげてきてね」
とのこと。
罪を犯し船で逃げるアラン・ドロンの背景に真っ赤な太陽。
その方は学生時代に
映画館で観たとのこと、
映画の内容を思い出したのか、
それとも若き日のいろいろを
思い出されていたのか・・。
いつもはバリバリのエリートビジネスマン、
思いがけない一言に
「音楽とはその人の人生に深く刻まれているのだ」と、
深く感動した経験でした。
大人の方のレッスンをしていると
その方の人生を音楽が彩るエピソードを
たくさん見てきました。
おいおいご紹介したいと思います。
さて今回よりいよいよ
「おひとりさま ピアノ塾」を初めていきたいと思います。
ドレミファソで指慣らし
それではピアノを弾くときに大切な
指番号からご説明します。
右手は親指から小指まで順に
1・2・3・4・5
左手も親指から小指まで順に
1・2・3・4・5
間違えやすいのは左手で、
小指から1~と思われる方が多いので
注意してください。
では次は実際にドの音を探してみましょう。
ピアノ、キーボードなど
持っていらっしゃる楽器によって
鍵盤の数が違いますが、体の中心を
ミの前に合わせて座り、
赤いドのところを右手の1の指(親指)で
押してみましょう。
鍵盤をよく見ると、黒い鍵盤(黒鍵)が
2本並んでいるところと
3本並んでいるところがありますね。
ドは2本並んでいるところの左下です。
人差し指(2の指)、中指(3の指)で
Vサインを作って
2本並んだ黒い鍵盤に乗せ、
自然に親指(1の指)を下したところが
ドになります。
まずはゆっくり押してみましょう。
音が出ましたら、その隣の鍵盤を2の指、
その隣を3の指と押して5の指まで
続けてみましょう。
これがド・レ・ミ・ファ・ソの音に
なります。
何回かドレミファソを繰り返し
弾いてみましょう。
うまく音が出ましたか?
4の指(薬指)5の指(小指)は
普段使うことの少ない指ですので、
なかなかうまく動かないかもしれませんが、
あせらずゆっくり何回も、繰り返して
鍵盤の重さに慣れてください。
ソ・ファ・ミ・レ・ドと逆の流れでも
音を出してみましょう。
上手く指が動くようになりましたか?
それでは次にこれを楽譜で
確認してみましょう。
これはト音記号と言って
音の表示をするときに使う記号です。
専門用語では音部記号といいます。
ピアノでは主に右手が弾く部分の表記に
用いられます。
ト音記号のトとは、ソの音を示しています。
少し難しくなりますので
音楽用語のことはあらためて
ご説明したいと思います。
それでは簡単な指慣らしドリルを
やってみましょう。
ト音記号の隣にあるCは4分の4拍子
という意味の拍子記号です。
1小節(ひとつの箱)の中が4拍で
できているということを意味します。
黒玉や白玉の音符が出てきて、
少し複雑に見えますが、
音符はこの2種類です。
これは2分音符(にぶおんぷ)と言って
2拍の音符
これは4分音符(しぶおんぷ)
と言って1拍の音符です。
あまり難しく考えずに
タン・タン・ター・アン という感じで
音を出していってください。
次回はいよいよ名曲ベートーベンの第九より
「よろこびのうた」にチャレンジしましょう。